文部科学省は技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)について、 最低限備えるべき資質能力として以下の7つを挙げています。そして、技術士はこれらの資質能力をもとに、今後、業務履行上必要な知見を深め、技術を修得し資質向上を図るように、十分な継続研さん(CPD)を行うことが求められています。(平成26年3月7日 科学技術・学術審議会 技術士分科会)
・専門的学識
・問題解決
・マネジメント
・評価
・コミュニケーション
・リーダーシップ
・技術者倫理
私たちは免許証があれば、車を運転することができます。運転が上手な人もいれば、下手な人もいます。同様に、ビジネスでも物事をうまく進められる人もいれば、失敗を重ねる人もいます。運転でもビジネスでも上手か下手かは、免許や資格では無く、スキルに大きく依存しています。そして、技術士に求められるスキルは、ハードスキルとソフトスキルの二つに大別できます。
※便宜上、ここでは「コンピテンシー」と「スキル」を同義として扱っています。
ハードスキルは、工学的なアプローチによって導かれた理論や手法のことです。例えば、プロジェクトマネジメントには、ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(WBS)やクリティカルパス法(CPM)、アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)など、多くのツールや手法が存在します。工学的なアプローチのハードスキルでは再現性や普遍性が求められるため、使い方を理解して経験を積めば、ある程度誰でも同じようなアウトプットを出すことができます。
一方で、ソフトスキルはヒューマンスキルと言われ、リーダーシップ、モチベーション、コミュニケーション、影響力、多文化理解など他にも多く存在します。これらは主に行動科学、心理学、社会学の分野で研究され、定義や考え方が厳密には統一されていないものが多いという特徴があります。ディレクターやマネジャーがチーム内でリーダーシップを発揮しても、チームメンバーの受け取り方や解釈は様々なのです。さらに、グローバル化が進んでいる現在では、海外の人たちと一緒にプロジェクトを行う機会もあり、文化や価値観の違いなどの多様性も相重なり、ソフトスキルを発揮することがより一層難しくなってきています。